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ファイル交換とレコード売り上げ減少は無関係

ファイル交換とレコード業界の売上減少は無関係〜米経済学者が論文

 研究論文のドラフトを公開しているのは、ハーバードビジネススクールのFelix Oberholzer助教授とノースカロライナ大学チャペルヒル校のKoleman Strumpf助教授。論文によると、ファイル交換がレコード業界の売上に与える影響は統計的にほとんど無視できるほど小さく、たとえ影響があったとしてもごくわずかであることが判明したという。(以下略・全文は続きにて)

過去の記事としてこのような物もある.
バランスの取れた著作権法が知的所有権の保護につながる

 レコード業界は、CDの売上の5倍のファイルが無料でダウンロードされたため、CDの売上げが減少したと主張しているが「5倍もの無料ダウンロードがあるのに、実際の売上げの低下は約5%に留まっており、本当に影響があるならもっと売上げが減っているはずだ。IT業界と比較した場合、IT業界全体の売上げの低下率の方がずっと大きい」と指摘し、CDの売り上げ低下は景気悪化による影響による部分が大きいと分析した。その上で、ファイル共有といった新しい技術やアーキテクチャが、未熟な法律により抑止されることは、技術革新の機会を奪うことになり、結果として大きな機会損失となると懸念した。

まあ,書いてあることは殆どみんな思っていることばかり何だけど,こうやってメディアに出ることが重要なんだよね.
JASRACやレコード会社は売り上げ減少の原因は未だにP2Pといったファイル交換やCD-R等のコピーだと言っているが,景気悪化・携帯の増加(主に10-20代)・質の悪い音楽の増加等々が一番の原因としか言えない.

で,ちょっと検索したら慶応大学の方がCD売り上げ減少の要因を研究して論文を書いてWebにて公開されている.
CD売り上げ低下の要因は何か(慶応大学・澤田など)(PDFファイル)
これもありきたりなことを書いているけど,しっかりを裏付けをして書いている.JASRACのいい加減な発言より信頼できる.

中古CDの売り場面積が大幅に増加していることについて,あまり追求されていないのはちょっと残念.
まあ,JASRACは五月頃に業績説明会するだろうから,その時にどうやって発言するか注目だ.

ファイル交換とレコード業界の売上減少は無関係〜米経済学者が論文
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040330-00000015-imp-sci

 米国の2人の経済学者が、音楽のファイル交換とレコード業界の売上減少の関係について経験的な手法による分析を行なった結果を論文のドラフトとして公表し、話題を集めている。

 研究論文のドラフトを公開しているのは、ハーバードビジネススクールのFelix Oberholzer助教授とノースカロライナ大学チャペルヒル校のKoleman Strumpf助教授。論文によると、ファイル交換がレコード業界の売上に与える影響は統計的にほとんど無視できるほど小さく、たとえ影響があったとしてもごくわずかであることが判明したという。全米レコード協会(RIAA)をはじめとする世界各国のレコード業界は、違法なファイル交換によってレコード業界の売上が大幅に減少していると主張し、ファイル交換サービスを提供している事業者やファイル交換技術を開発している企業に対する訴訟を多く起こしている。今回の研究結果は、こうしたレコード業界の主張と真っ向から食い違うものだ。

 論文ではあくまでもファイル交換がレコード業界の売上に与える影響についてのみ調査分析しているため、レコード業界の売上減少の実証分析には至っていないものの、著者らはいくつかの考えられる要因を挙げている。例えばマクロ経済不況、アルバムリリース数の減少、ゲームのグラフィックの向上とDVDプレーヤーの価格低下に伴うビデオゲームとDVDなど他のエンターテイメントの台頭、ラジオ局の合併などに伴う音楽ジャンルのバラエティの減少、一連のレコード業界の戦略に対する消費者の反感などである。さらに、ここ数年見られているレコード業界の売上減少と似た現象が1970年代後半と1980年代初頭に起きていることも指摘。また、1990年代のレコード業界の売上は、アナログレコードなどの古いメディアからCDに買い替える人々が多かったために異常に高かったと考えられるとも指摘している。

 その上でファイル交換が音楽の売上に2つの側面から影響を与えていると分析する。まず、メジャーレーベルから出される“スーパースター”のアルバムに関しては、ファイル交換は売上を減少させるどころかむしろポジティブな影響すら与えていると指摘。逆にそれほど有名でなく、わずかなアルバムしか発表していないアーティストには売上減少の影響を与えるとしている。しかし、この売上減少の割合も統計的に見て著しく小さいと考えられ、音楽産業が新しい音楽を創造する際に影響を受けるとは考えにくいと指摘。その理由として、音楽アルバムの売上により利益をあげられるアーティストの割合は上位1%にも満たない状況であり、こうしたアーティストのほとんどは金銭的な利益のために音楽を創造しているわけではないことが推測できるからだとしている。

 レコード業界ではなく、社会全体の福祉を考えた場合、もしこの経験的な分析が正しいのであれば、ファイル交換は社会全体の福祉を向上させる可能性がある。ファイル交換が新しい音楽の創造コストにわずかな影響しか与えていないのであれば、社会全体としては音楽の消費量を増やしたと言え、多くの人が音楽を楽しむようになったと結論付けることができる。

 この研究はさまざまな意味で興味深いが、サンプルとしているのが世界中のインターネットによるダウンロードの0.01%であり、因果関係をつきとめるためにファイル交換に関する技術的な考察を加え、計量的なモデルを構築していることから、これらのサンプルの取り方、モデルの建て方が正しいと言えるのかどうかをさらに詳しく分析しなくてはならないことは言うまでもない。

 また、経済学的な意味で被害がほとんど出ていないことによって違法な著作物の再配布が正当化されるわけでもない。しかし、現在は違法な著作物の再配布であっても、それが社会的な福祉を向上させるのであれば、著作権法が社会全体の福祉の足かせになってしまう。さらに続く研究により、新しい技術と新しい経済の時代により適した、社会全体の福祉を目指す著作権法が必要となるのかもしれない。

関連情報

■URL
  研究論文のドラフト(英文、PDF)
  http://www.unc.edu/~cigar/papers/FileSharing_March2004.pdf
  関連記事:米国での音楽ソフト売上減少の要因は「オンライン海賊行為」〜RIAA
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0226/riaa.htm
  関連記事:音楽のネット配信売上減少はファイル共有サービスと関係〜米調査
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/1105/coms.htm
  関連記事:音楽業界の売上減少はファイル交換ソフトの“ヘビーユーザー”が原因
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0619/edison.htm
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2004/03/30 13:50(impress Watch)

バランスの取れた著作権法が知的所有権の保護につながる
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/1213/ressig.htm

■URL
http://cyberlaw.stanford.edu/lessig/

 12日、スタンフォード大学ロースクール教授のLawrence Lessig氏が慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で知的財産権について講演を行なった。Lessig教授はサイバー法の権威として有名で、米Microsoft社の反トラスト法訴訟において連邦裁判所に「スペシャルマスター」に任命されたこともあるほか、米国最高裁判所の裁判官書記を務めた経験もある。また「CODE」、「コモンズ」といった著作でも知られている。

 まず、Lessig教授はインターネット上の「著作権戦争」として「(インターネットの歴史の中では)古いテクノロジーを用いた新しいアプリケーションであるファイル共有ソフトが著作権に対する新たな脅威となっている」としてNapsterがわずかな期間のうちに多数のインターネット利用者の間に広まった例を挙げた。一方、AIBOのソフトウェアプロテクトをハッキングし、音楽に合わせてAIBOが踊るようにしたプログラムを公開していた利用者がSONYの弁護士から警告を受けた事件を挙げ、コンテンツ産業側のロビー活動によって「デジタルミレニアム著作権法」(DCMA)が成立し、かつての著作権法の元では完全に合法的とされていた「著作権保護を破るツール」が違法とされた結果、「AIBOがジャズダンスを踊れるようにすることは、AIBOの価値を高めるにも関わらず違法行為となってしまった」として現行のDCMAに疑問を示した。

 また、知的財産権に関する短期的な見通しとして、「無料コンテンツが売上を破壊する」という見方に疑問を呈した。これまでの産業では、無料は売上げを脅かす存在と考えられている。しかし、Lessig教授は、たとえばCD100枚を無料で提供することはCD100枚の売上げを減少させるためゼロサムゲームとなるが、インターネット上では状況が異なるとしている。

 レコード業界は、CDの売上の5倍のファイルが無料でダウンロードされたため、CDの売上げが減少したと主張しているが「5倍もの無料ダウンロードがあるのに、実際の売上げの低下は約5%に留まっており、本当に影響があるならもっと売上げが減っているはずだ。IT業界と比較した場合、IT業界全体の売上げの低下率の方がずっと大きい」と指摘し、CDの売り上げ低下は景気悪化による影響による部分が大きいと分析した。その上で、ファイル共有といった新しい技術やアーキテクチャが、未熟な法律により抑止されることは、技術革新の機会を奪うことになり、結果として大きな機会損失となると懸念した。

 長期的な見通しとしては、「“You can't compete with free”という考え方は、無料での競争は無意味だという考え方と違う」として、無料と競争しているビジネスの例として「ミネラルウォーター」と「弁護士事業」を挙げた。「蛇口をひねれば水道の水が出てくるのに、なぜ人々はお金を払ってまでボルビックを買うのか。法律情報は図書館やWebなどから入手できるのに、なぜわざわざ弁護士に頼むのか。その理由は美味しい水を飲みたいという利用者の欲求に応え、ミネラルウォーターを販売する企業の間で競争が発生していることによって水の産業が成立している、また弁護士は利用者の煩雑な法的調査を代替することで対価を得ているからだ」と分析した。

 その背景には、現在、安価なディスク領域と細いネットワーク接続しか存在せず、結果としてデータをディスクに保存している点があげられる。しかし、近い将来、より安価なディスク領域とより太いネットワーク接続が、ユビキタスコンピューティング、常時接続、ブロードバンド、ワイヤレスといった技術によってもたらされ、その結果、複合的にどこでもネットワークに繋がり、ストリーミング・コンテンツが増えていくだろうという予想がある。

 そして、ストリーミング・コンテンツはコントロールしやすいため、ここから課金するにあたっては「利便性を追求した競争を行なうべき」で、ペイ・パー・ビューや広告、購読モデルなどのビジネスモデルが考えられるとしている。結論としては、「適切な政策がインターネットの硬直化を防ぎつつも、知的財産権を保護できるということで、社会全体の利益最大化を考えたバランスのとれた著作権法が重要である」とした。

 なお、この講演は慶応義塾大学ビジネススクールの國領 二郎教授の招きで実現したもので、近日中にWIDE Univeristy, School of Internet ( http://www.soi.wide.ad.jp/ )で公開される予定だ。

(2002/12/13)
[Reported by shin@shirahata.name]

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